【寄稿】発達障害メイド喫茶「スターブロッサム」の軌跡と私の道
「発達障害当事者の女性が間借りの場所でメイド喫茶を運営する」
発達障害とメイド喫茶、私にとって共に身近なキーワードを結びつける試みに興味を持ち、スターブロッサムの開業以来、細く長く応援させていただく中で気がつけば2年が経っていました。出入りの激しいコンセプトカフェの世界で、一般的に社会的な関わりを苦手とする発達障害当事者の方が主体となり、様々な企画を立案・実行しながら、これだけ長く続けられて来たことは並大抵の意思や努力では実現できないもので、開業当初からこの試みを見守り続けてきた事をとても誇らしく感じています。
一方で、私自身はスターブロッサムに対して熱心なお客さんとは言えないとも感じていますが、それでもある時はカメラマン、時にはお店の臨時キャストさんとして、新しい経験を積む機会をいただいています。これらの経験は、できる範囲で団体をサポートすることを通じて、私の人生に彩りを添えてくれています。
そんなある日、「発達障害メイド喫茶スターブロッサム【慌てるメイド 見守る客】」と言う、とてもユニークな写真展へのオファーをいただいた時の率直な感想は「興味はあるけど、それ以上にとても不安!」というものでした。私自身、カメラ歴だけは長いものの展示会への出展経験は無く、何をどう準備すれば良いのかもわからない状態からのスタート。出展作品を選定し、紙の種類を吟味して印刷、パネル加工し、どのように展示するかを考える日々、自分が表現したい方向性を見失ったり、液晶モニタ上の表示とは違って、紙印刷での仕上がりが思い通りにならず頭を抱えたり、普段SNSで投稿するのとはまた別次元の難しさを感じながら準備を進めていた事をとてもよく覚えています。
しかし、自身の作品がパソコンモニタとは比べ物にならない大きさで、他のカメラマンの作品と肩を並べて展示され、来場者に見ていただくという事は大変刺激的で、写真の新たな楽しみ方を知ると共に、興味が薄れていたポートレート撮影の世界に再び興味をもつことへのきっかけとなりました。今回の出展にあたっては運営側の手厚く細やかなサポートもあり、不安はありながらも、安心して準備を進めることができましたので、初めての展示会がスターブロッサムで良かったなと強く感じています。
スターブロッサムは発達障害当事者の女性が挑戦できる場所として始まったメイド喫茶ですが、近年は発達障害で生きづらさを抱えるお客様も、そうでないお客様も等しく安心して過ごすことのできる心の拠り所として、また社会との関わりを積極的に持つことのできる場所として、着実にその地位が確立されてきたように感じています。普通に生きることが難しい現代社会において、それはこれからもとても必要とされていくものと感じており、私自身も微力ではありますが、これからも引き続き、細く長く応援していきたいと思っています。